ムーミン童話は全9作品からなります。文章と挿絵ともにヤンソンさん自身が手掛けました。ヤンソンさんの母語であるスウェーデン語が原著となります。
タイトル一覧
物語の時系列に表を作成しました。日本語タイトルは講談社の出版名にならっています。
日本語タイトル | 原語タイトル (日本語意味) | 原語出版年 | 備考 |
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小さなトロールと大きな洪水 | SMÅ TROLLEN OCH DEN STORA ÖVERSVÄMNINGEN (小さなトロールたちと大きな洪水) | 1945年 | – |
未邦訳作品(1) | KOMETJAKTEN (彗星追跡) | 1946年 | – |
未邦訳作品(2) | MUMINTROLLET PÅ KOMETJAKT (彗星を追うムーミントロール) | 1956年 | 未邦訳作品(1)の改稿版 |
ムーミン谷の彗星 | KOMETEN KOMMER (彗星接近) | 1968年 | 未邦訳作品(2)の改稿版 |
たのしいムーミン一家 | TROLLKARLENS HATT (魔物の帽子) | 1948年 | – |
未邦訳作品(3) | MUMINPAPPANS BRAVADER (ムーミンパパのお手柄) | 1950年 | – |
ムーミンパパの思い出 | MUMINPAPPANS MEMOARER (ムーミンパパの回顧録) | 1968年 | 未邦訳作品(3)の改稿版 |
ムーミン谷の夏まつり | FARLIG MIDSOMMAR (危険な夏至祭り) | 1954年 | – |
ムーミン谷の冬 | TROLLVINTER (トロールの冬) | 1957年 | – |
ムーミン谷の仲間たち | DET OSYNLIGA BARNET OCH ANDRA BERÄTTERLSER (目に見えない子とそのほかの物語) | 1962年 | – |
ムーミンパパ海へいく | PAPPAN OCH HAVET (パパと海) | 1965年 | – |
ムーミン谷の十一月 | SENT I NOVEMBER (11月の末に) | 1970年 | – |
小さなトロールと大きな洪水
ムーミンパパとはぐれてしまった!ムーミンパパを探すムーミンとムーミンママはスニフと出会います。そしてさまよった末に3人がたどりついたところは……。
ムーミン作品の記念すべき1作目ですが、お話としては未熟な感じをうけるためか、別巻扱いで「9巻」となっています。挿絵も今のムーミンとはだいぶ違います。ムーミンたちがムーミン谷に住む前のお話で、設定はやや暗いですが、なかなか突っ込みどころのある味わいある作品です。
ムーミン谷の彗星
彗星が衝突して地球が滅びる!真相を確かめるため天文台へと向かったムーミンとスニフは、旅の途中でスナフキンやスノークのお嬢さん、スノークと出会います。ムーミン谷の運命やいかに!
彗星が衝突するだなんて、児童文学なのにこんなに破滅的な設定でいいのか!?と思いながら読み進めました。でも、そんな事情もおかまいなしにマイペースで対応するムーミンたちがたくましく、ほほえましかったです。スリル満天で楽しめました。挿絵も味のあるものばかりで良いです。
たのしいムーミン一家
ムーミン谷に春がきた!ムーミン谷の一夏の様子がほのぼのと描かれます。山に登ったムーミンたちは帽子(シルクハット)を見つけました。実はその帽子(シルクハット)は……。
ムーミンシリーズの出世作です。一般の人がイメージするムーミンの世界だと思います。空飛ぶ雲に乗ったり、ニョロニョロの島へ冒険に行ったりとファンタジーにあふれています。
ムーミンパパの思い出
ムーミンパパの生い立ちがいま明かされる!ムーミンパパの独身時代の物語です。さてさて、どんな冒険が繰りひろげられるのでしょう。
若かりしころのムーミンパパとその仲間たち(フレドリクソン、ヨクサル、ロッドユール)の冒険が楽しく愉快に描かれています。ムーミンファンには有名なあの血縁関係のエピソードも登場します。冒険をする船が「海のオーケストラ号」と名付けられたのが個人的にツボでした。
ムーミン谷の夏まつり
ムーミン谷が大洪水に!ムーミンたちは流れてきた変な家(劇場)へと移り、ムーミン谷をあとにします。いったい何が彼らを待ち受けているのか!
水面を漂う劇場での生活、パパたちと離れてしまったムーミンとフローレンの冒険、スナフキンと公園番の対決など読みどころ満載です。また、夏まつり(=夏至祭)の様子も細やかに描写されています。
ムーミン谷の冬
冬眠中にムーミンだけが目覚めてしまった!初めて過ごす冬のムーミン谷。そこにはムーミンの知らない世界がありました。
頼れるパパもやさしいママも冬眠しています。自分の力でなんとかしなきゃとがんばるムーミンの内面が丁寧に描かれています。また、ムーミン屋敷を訪れる冬のお客さんをもてなすムーミンが健気です。家族が冬眠中で登場しない、冬のムーミン谷が舞台になっているという点で、今までとは趣を異にする作品です。
ムーミン谷の仲間たち
ムーミン主役の座をあけ渡す!ムーミン谷の住民を主人公にした9つの物語から成る短編集です。ムーミン谷の全貌が今、ここに明らかに!
収録作品は「春のしらべ」「ぞっとする話」「この世のおわりにおびえるフィリフヨンカ」「世界でいちばんさいごのりゅう」「しずかなのがすきなヘムレンさん」「目に見えない子」「ニョロニョロのひみつ」「スニフとセドリックのこと」「もみの木」です。
ムーミンパパ海へいく
ムーミン一家、ムーミン谷を去る!燈台のほかは何もない岩だらけの島で、ムーミンたちは新たな暮らしを始めます。
ムーミン一家とミイ、モラン以外のムーミン谷の仲間は登場しません。緑豊かなムーミン谷を離れ、新天地の厳しい自然の中で暮らすムーミン一家の自然との戦い、自己との対話が描かれています。
ムーミン谷の十一月
ムーミン一家がいない!ムーミン屋敷に集まった人々はそれぞれ思い思いに過ごします。果たしてムーミン一家は帰ってくるのか!
ムーミン一家不在のムーミン屋敷に集まった個性豊かな面々(ヘムレンさん、ホムサ、フィリフヨンカ、スクルッタおじさん、ミムラねえさん、スナフキン)が、心の葛藤と対峙する様が描かれます。「ムーミンパパ海へいく」と対になった物語と言われています。